間宮氏のネクストお仕事の原作について、そういえば感想まだ書いてませんでしたので、まとめておきます。
例によって例の如く、ネタバレまくりますご注意ください。
<ライチ光クラブ>
もともとは、アングラ演劇であった舞台作品を、コミカライズした作品が原作となります。つまりマンガ版が映画化されるのです。
原作コミックは2冊ありまして、
「ライチ光クラブ」と「ぼくらの光クラブ」
演劇を最初にコミカライズしたのがライチ~の方で、その時点で二次創作されているのですが、さらにキャラ達への想像を膨らませ前日譚として作られた物語が、ぼくらの~にあたります。
さらに、再舞台化も好評を博しており、私の様に二次創作を趣味とする人間から見ると、大層興味深い軌跡を辿って、ファンの裾野を広げてきた作品なのです。
カテゴリ分けの難しい作品でもあります。エログロ、美少年BL、といったセンセーショナルな要素ばかりをつい話題にしてしまいますが、本質的には、閉ざされた世界での少年達の暴走と自滅、という割と王道的青春残酷物語です。
物語の世界観を形作っているのは、
「醜い大人たちを否定する。大人になることなど拒否し、自分たちで世界を支配し変えたい」
という少年達の思い。
私は、この願望にこそ、時代を超えた普遍的魅力があるのではないかと感じているのです。
読みながらつい連想したのは、浦沢直樹の20世紀少年や、梅図かずおの漂流教室。
オウム真理教事件を例に挙げるまでもなく、幼稚な妄想が、思いがけず人を洗脳レベルで魅了してしまうというのは、残念ながら荒唐無稽でもなんでもなく、奇妙にリアルで怖かったりするのです。
また、二次創作を生む作品の絶対的条件として、キャラ人気を忘れてはいけませんね。
その点でもこの作品は、見事に条件に合致。大変個性的で、キャラ立ちまくった少年達が多数登場し、群像劇としても立派に成立しています。
まあ、珍しくくどくどしい事書いてしまいましたが、私は、個人的には、ゼラという劣等感こじらせた歪んだ天才少年が、ジャイボという悪魔的美少年によって身を滅ぼすというプロットが一番気に入ってたりします笑。
間宮氏演じるジャイボくんは、中性的美少年でありながら、猟奇趣味を持つという強烈なキャラ。
彼によって、無邪気な少年の遊びでしかなかった秘密クラブが、狂気の暴力集団へと歪められていってしまう。位置づけとしては、ファムファタールというか傾城(けいせい)の美女であります笑。
このジャイボというキャラをさらに魅力的にしているのは、少年としてゼラくんを心から愛しているのに、ゼラくんにとっては、所詮少女の代替物でしかないってとこなんですね。哀しいわー。風と木の詩だわ~笑
そんな訳で、私は、主演である以上、野村くんこそがゼラを演じるものと決めつけておりました。
が、ライバルであるタミヤであるとの事。
タミヤとは、ゼラくんにクラブを乗っ取られるまでは、グループのリーダーであり、そもそものクラブの創設者だったイケメンキャラ。少年達の中で、最も普通の常識人で、ある意味正義の存在だったりします。
そのタミヤを主人公とする物語として描かれるとなると、ライチ~よりは、ぼくらの~寄りのストーリーになるのかな、という気がします。
ちょっと、都合よく改変されている懸念もありますが、物語の後味の悪さを軽減できているのかもしれず。
まあ要するに、どういうデキになっているかは見てみないことには何とも言えないですね。
エロもグロも結構なレベルですので、誰にでもおすすめできる作品ではありません。が、私はチャレンジングなこの作品の公開が、楽しみでなりません。