※ネタバレ有り。ご注意下さい
①正直、共感は難しかった
これは感想書くの難しい。
なぜならば、私はどのキャラにも共感する事が出来ませんでしたので…
青春ものだというのに、1ミリもノスタルジーを抱けないってのも凄いよ。
だってしょうがないじゃんね!私の青春どんだけページめくったって、「3人の美形に求められて困っちゃった〜振り回しちゃった〜」なんて事なかったんだもん!!!(理不尽な難癖)
一応、全キャラとも、情報量多く描写を詰め込まれてはいるのです。
しかし、一瞬だけを切り取れば身に覚えがあったり理解できる言動もあるのに、次の瞬間には
「え?で、なんでそこからそうなる?」と、、、
繋がりがさっぱり理解できなくて。妙なグルーヴ感だけが残る。
このモヤった感情を言葉にするために、過去作で似た印象を受けたものを思い出そうと頑張ってみたんですが、、、
うーむ。小説「恐るべき子供たち」の初読後の感想が一番近いかも。こいつら全員ラリってんのか?あ、コクトーさんがラリって書いたんですかそうですか、というアレ。(言葉を全然選べてないじゃん!どーもすいませんね)
多くが、映画というより原作そのものに起因するのだろうとも思うんですが、原作未読のためその切り分けは私には出来ない。
ただただ「似た作品」ってのが思い浮かばなかった。それくらい、この作品は癖があって独創的という事なのかと感じるしか無かったのです。なかなか凄い。
②映像美とカット割りの面白さに見応えが
既に定評ある監督の撮る映像美は、文句なしに素敵でした。
まるでマンガのページをババってめくって読むみたいな気分になる、高速のカット割りとラップスピードのセリフの応酬も面白い。
実は本作のロケ地の多くが、「リアル生活圏」もしくは「青春思い出の地」
これは私にとっては特別なことでした。
豊洲や東雲あたりをチャリで頻繁に飛ばしてる下町の母な私ですが、知ってる風景が切り取り方でこうも印象が変わるのかと、純粋に驚かされました。
これまで目にしてきた街の写真は、「実験的近代建築」であったり「猛スピードで変貌する湾岸風景」といった切り口のものばかり。
実際、ラストシーンで使われた豊洲ぐるり公園は、現時点で間違いなく最高!の東京パノラマですので、是非ロケ地巡りをしてみて欲しいです。多分、ほんの数年であの風景は変わってしまいます。
一方で本作では、ストーリーも相まって、湾岸に多くの人間が巣食っている生々しさが演出されていたとも感じます。住民の悩みや欲望を想起させる、袋小路みたいな団地感とでもいうのでしょうか。
表向きはネオトキオ気分で華やかに見せてはいても、実は多くが行き場のない閉塞感や地に足の着いてない不安な浮草気分を抱えている都市住民の裏の顔。容赦なくって、ちょっと辛いなあ笑
そしてそして青春の日の思い出。学祭で酔っ払い池落ちしてた古くせえキャンパスまで、推しが召されていく神殿のごとく切なく化けるのを見てしまったら…
「わ、わたしの知ってる甘酸っぱい記憶とちがーう!」
という憤怒の感情がっw
(いや、飲み過ぎオエーを甘酸っぱい記憶と強弁すれば何とか←)(それにしたってあんな美形いやしなかったです神様!)
つまり本作の映像には、単に綺麗というだけでないエモーショナルな毒も嘘もあります。成る程引き込まれる訳です。
③キャスト全員麗しい
映像美に格別のこだわりを持つそんな監督さんですから!キャストにも当然美の要求が高かったようで笑
さほど多くの登場がない役に、反町さんや吉岡里帆さんを投入するとか妥協を知らな過ぎでもはや愛しいですしw
半青の弟上村くんの拗らせ童貞感や、桜田ひよりさんの壊れたJCも、二人並んだ姿に現代っ子お雛様感があって大変よろしかった。
リアル「恐るべき子供たち」であった清水くんや板垣くんの「今」を切り取り、二人の魅力を余すところなく映していたのも特筆でしょう。インタビューや舞台挨拶などを通じて二人の素顔を知る事ができたのは本作の収穫の一つであります。
清水くんは、自分の意思を適切な言葉で語れる頭の良さや、意外に人懐こく突っ込み側の盛り上げ役であるところなど、間宮氏と似てると感じるところがたくさんありました。何よりも、イケメン呼ばわりするのが失礼と感じるほどに、既に強烈な個性の持ち主です。「怪優」に近い魅力と将来性を感じますね。
一方の板垣くんですが。中身天然でキョドる姿も愛らしい母性本能くすぐる美形くんって…「また現れたな〜スターダストからの刺客め!」というのが俳優オタならではの感想です笑
ついついあのチャグムくんが、という目で見てしまうせいなのか、この方急速に男っぽくなってきましたね。まだまだ変貌しそうで、発展途上の男らしさと天然中身がどんな化学反応を起こしてくれるのかが楽しみです。
本作で女優デビューの堀さんは、少し舌足らず感ある初々しさがヒロインイメージにしっくり。ギリギリのところを必死でもがいて女優をやり切った感じは、儚げだったのに何かに目覚めていくストーリーに上手くハマっていたのではないでしょうか?ぎこちなさ残る冒頭部から、ラストシーンへと向かい次第に成長していく様がちゃんと感じ取れました。
解釈の難しい役だった筈ですが、逃げずに真正面から役と向き合った事が分かるし、それを言葉で人に伝える事も出来ていた。凄く頑張ったね!と心からの拍手を贈りたいです。
実はお気に入りの堀ちゃんエピソードってのがありまして。
板垣くんと間宮氏は、本作中、監督命令で痩せろ!と言われ食事制限をしたそうです。少女マンガを実写化すんのもタイヘンねえ…といういかにも「らしい」裏話ですが
そんな腹を空かせたイケメン二人の目の前で、堀ちゃんは弁当二つも食ったらしいwww
「こんな細いのにすげえ食うなって」恨みがましくバラされたのが面白過ぎました😹
④間宮だって小声が出せるんです!
私にとって本作の最大の見所は
・ひたすら儚げで超ネクラ
・全ての自己主張を押し殺し
・流し目でしか相手を見れない
・囁くような声でしかもの言えぬ男
という、本来の自分自身とは180度真逆のキャラを演じた間宮氏でありました!(物凄い断定入りました)
ダイエットの甲斐あって、素晴らしいビジュアルです。明日にでも死にそうなこんな間宮氏久しぶりに見た気がします笑
役者間宮のこんな一面を引き出してくださってありがとうございます🙇♀️
⑤アート作の画材に成りきるのも見事な仕事
本作間宮氏インタビューで、特に印象に残った事がありまして、それは
「ヒロインみたいな女の子は苦手。理解できない」
とめちゃめちゃはっきり言ってる事なんです笑
処女性の価値までスパッと一刀両断。実に男らしい真っ当な感覚に逆に惚れ直してしまいそうな(笑)インタビューこちら↓
これだけでなく、自身が演じた兄役についても、「男としてもっとしっかりしろ、という気持ち」ともw
これまでは、どんな役でも、例え人殺しの役であっても、必ず人間的解釈を試みて役に寄り添い「このように演じたい」という姿勢を見せてきた間宮氏なので、大変珍しい事と驚きましたね。
劇中では省かれてしまった原作設定(実は亡き両親が残した借金を肩代わりしてまで育ててくれていた。そんな人たちの娘に恋慕してしまった罪悪感)などを補完的にインタビューで語ったりしているので、キャラへの愛や理解がなかったとは思いません。
従って、アーティスト肌の山戸監督の作風を深く理解した上で、あえて、間宮氏自身はただ良き画材であろうとした結果なんだろうと私は感じたのですが、いかがでしょう?
つまり、俳優による役の理解や解釈などを一切排除し、ひたすらその時監督の頭の中に浮かんだシーンを再現する事だけに専念した。これ、清水くんや板垣くんのインタビューからも読み取れたんですよね。
結果出来上がった作品は、当然のごとく女性的少女的感性の結晶体みたいなもので。そりゃ演じた男子たちが皆口を揃えて「女の子って全く分かりません」とインタビューで答えるわけです。実に潔くていいぞ笑
もっとアイドル映画寄りにしたり、商業的集客だけを求めていたら違う顔ぶれになっていたかもしれない3人です。でも、これこそが山戸監督が期待しこの役者達を選択した理由だったはず。若さに似合わぬ職人スタンスが発揮され、見事な仕事ぶりでした👏
⑥テーマがわかりにくくなった理由とは
本作品、1回目見た時には「ワケワカリマセン」だったのに、2回目では「なるほどね」が増えていたから、単純に繰り返し見て情報を咀嚼できてくると、受け止め方が変わる可能性が高いです。
逆に言えば、斬新ではあったけれど、怒涛の台詞量で攻め続けた演出により、一番伝えたかったテーマがわかりにくくなったのではないかと思います。
いまいち自信ありませんが、本当に伝えたかったメッセージってこういう事?
「女の子よ、安易に自分を求める者へと与えるな。自分の価値は自分で決めれば消費される性から自由になれる」
仮にそうだとしても、センセーショナルノイズが多過ぎて、そこに素直に至れないのだ。「生でやりたい」とか必要か?
むしろ「ビバ若さ!自分の気持ちに素直になって後先考えずにフリーセックス!」みたいな大いなる誤解を招いちゃってないか?
そんな困惑を隠せない、私はフツーの昭和生まれお母さんなのでした。