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Channel: 妄想泥棒のブログ(銀英伝・ハガレン二次創作小説とマンガ・読書・間宮祥太朗ドラマ感想)
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●プロとしての二次創作とは<銀河英雄伝説舞台化へのこっそり感想>

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これは、私のような趣味を持つ者にとっては、語るには難しいテーマです。
私は、ひょんな事から勢いで二次創作業界に嵌まり込んでしまったものの、その後ずっと「結局二次創作って何なんでしょう」ということを考え続けています。
正直、いくら考えても答えが無く、また、答えを求める行為自体が大変に無粋もしくは薮蛇な気もしてきた今日この頃。

我々趣味仲間の間でよく話題として挙がるのは、法的にグレーな位置づけのものであるという点についてですかね。
一方、商業としての二次創作、あるいは文化としての二次創作という観点から語れば、二次創作とは、”アングラな遊び”というのとはまた違った評価と価値を伴うものであるはずです。つまり二次創作にもプロの世界がある。
そして、本日私が書きたいことは、この後者の点についてだったりします。

あくまでも、現時点での私の理解の範囲ではありますが、プロが行う二次創作とは、作品スタンス別に分けると以下の2つに大別できると考えています

1)リメイク
原作を忠実に再現しようと試みている。もしくは、別メディアでの再現に努めているもの

2)本歌とり
原作を素材としてのみ扱い、本質的には別の新しい作品を生み出そうとしているもの

マンガで例えるならば、1)の代表として私が真っ先に思い浮かべるのは以下の作品群。
>大和和紀「あさきゆめみし」
>横山光輝「三国志」

このふたつは、原作の代わりに読むという人がいても全く違和感ない。○○版源氏とか、○○版三国志などの文芸作品と並び称されるべき作品。
>萩尾望都「ウは宇宙船のウ」
何かで読んだのですが、実は漫画家を目指していた故栗本薫氏が、この作品を読んで、あまりの才能の違いにうちのめされてしまい、あっさりと小説へと転向したとか。
分かる。あのブラッドベリ独特の詩的情緒の再現力が尋常でない神作品です。とくに「霧笛」が凄い。


一方、2)に分類される作品は、捉えようによっては物凄く広範であるにも関わらず、意外にこれぞ、と思い浮かぶ作品が多くありませんでした。それだけ絶妙なバランス感覚や技術的洗練を求められる難しい手法なのかもしれません。
つまり、単純に素材として扱う事なら誰にでもできますが、そこに重層的な深み、つまりその原作を使う必然性やひねりある面白みを持たせることは至難なのでしょう。

そんな中、まず思い浮かんだのは、こちら。
松田奈緒子「少女漫画」
上記「あさきゆめみし」同様、既にマンガテーマの本ブログ過去記事でとりあげたことがあったので、詳細は省きます。
が、どちらも「プロの二次創作」というテーマで語るには、はずせない傑作だと思っております。

で、今日一番語りたかったのはコレ↓

浦澤直樹「PLUTO」
二次創作を本物のプロがやるとここまで凄いことができるのか、と私をうならせた作品です。
大胆なキャラデザイン、原作設定を十分に活かしファンに懐かしの涙を流させつつも、複雑さと深みを増した独自設定と物語。原作テーマを壊さずして、見事に別の物語として成立することに成功してます。

あと、この話題にあげるべきかどうか、もしあげるとしたら1)か2)かどちらなのか、判断がつかなかったのがガンダムオリジンですね・・・。いやもう、私シャア様大好きすぎて笑。士官学校編を鼻血流しながら読んだ変態なんですごめんなさい。

いずれにしても、読者を納得させてくれるレベルの仕事には、以下の全てが備わっています。

・原作へのリスペクトが大前提となっており
・それでいて、原作とは大胆に異なる設定や物語で読者をひきつけ
・二次創作としてでなく単なる1作品としても十分に成立している


結果、原作未読者も十分に楽しめ、むしろ原作へ触れるきっかけとなり得るし、原作愛好者にとっても「そうきたか」という驚きを楽しめるものとなっています。

さてと。我慢強くここまで読んでくださった本ブログ読者の方であれば、もうそろそろお気づきの事でしょう。
なんだって突然、こんなテーマを語りだしたか。
そう。私、昨晩日本青年館で行われた銀河英雄伝説舞台版「初陣」を観てまいりました。
私は観劇の目が肥えておりませんので、細かいことは語れませんし語りません。ただシンプルに感想を述べさせていただきます。
「見て損はない。次も行くぜ」
はい。以上です笑。

まず、芝居にする以上、どうあがいても忠実なリメイクは無理なわけです。
そもそも、超絶美形のラインハルトはじめ、登場人物たちはあんな奴おらんで」というキャラばっかなんだから、それを生身の人間が演ることからして相当ハードル高い。
宝塚の場合には、そこを上手く2.5次元の世界へ繋ぐメソッドを持っていましたから、銀河英雄伝説の舞台というよりは、宝塚の演目として楽しめるわけです。そう、まさに新しい別の作品を作った。

一方、舞台版については、ヅカほどの大胆さにはまだ及ばず、ややどっちつかずというか暗中模索というか・・・、苦しんでいるなーという印象は受けました。そもそも難しい企画なんだよね、うん。
それでも、一遍のストーリーにちゃんとまとめあげたのは、さすがにプロの仕事だと私は感じたわけです。比べるのもおこがましすぎますが、かつて自分で銀英世界の再構築を試みた経験から、この難しさは少しは分かるつもり。拍手を贈りたいですね。

次作では、いっそもっと大胆に独自化してもいいよ、と個人的には思う。要は芝居として面白い作品に成立しているかどうかの方が大事。私は1観客としてそう感じましたんで。
それに、役者さんたちが素晴らしいじゃないですか。だから、無理に原作キャラの枠にはめようとせずに、それぞれの個性をもっと積極的に活かす方法もあると思いますよ。長丁場な企画なんだから、ヅカには及ばずとも、全舞台シリーズに共通する何か独自世界のようなものを築く必要性があるでしょ?

最初から通してこのシリーズを観劇されている方は、きっと異なる感想をお持ちになることでしょう。
でも、初参戦の私にとっては十分に楽しかったので、多分、いや間違いなく次作も観にいきます。
若い役者さんたちの成長も見守れたら、きっと楽しいだろうな。いや、むしろそれこそを舞台版独自の楽しみのコアに据えるのはどうでしょうね?(2年後、「マミヤは私が育てた」的なおばはんになってたらこわいよ・・・)

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