※ネタバレあります。避けたい方ご注意下さい
遂に迎えました最終回。
原作をどう変えてくるのかが個人的に最も注目していたポイント。
結果、最大の改変は
「全員に償いをさせた」
この1点に尽きます。
そこに至るまでオリキャラを上手く活躍させたりなど細かい改変もありました。
が、それよりも、直球勝負しつつ印象を変えたいう意味で、全員自首は大きな改変でした。
①良い改変と感じた理由
私は、この改変を凄く良かったと思ってるんです。これにより原作よりも魅力的になったキャラがいたことが理由ですね。具体的には伊佐美とマル。
以下ネタバレになりますが、
原作では、弟殺しで捕まったパイセンしか服役しません。公開自首をうやむやにされた残るメンバーは少年院にも入らず10年後を迎え
・マルチで騙して羽振り良く振る舞うが惨めな孤独人生を歩んでいるらしきマル
・ガテン系で生計を立て真っ当な家庭人になろうとしている伊佐美
・相変わらず仕事もフワフワ。結婚しても心を誤魔化したまま罪悪感と共に生きるトビオ
が描かれています。
ところがドラマ版では、(恐らく身代わり死刑囚はそのままに)爆発物を仕掛けた罪で全員少年院にはお世話になったらしい。
厳密には10人殺しという真実の罪を償った訳では無いのですが、
社会的制裁を逃げずに受けた、という事は間違いなさそう。
②伊佐美くんの魅力増してる
この改変で、伊佐美と今宵カップルの生き様の印象が以下の通りまるで変わった。
<原作>
ただ過去をうやむやにしたまま、諦めと共に現実を受け入れて生きている
↓↓↓
<ドラマ>
前科者にはなったが償いはした。待ってて受け入れてくれた今宵ちゃん。被害者への弔いを生涯続け過去を切り離すつもりは無い
つまり、温かい人間味をより感じるキャラとして伊佐美を描いてくれたと感じます。すっごく嬉しい…
③マルは何だかカッコよく
もう一人、マルも全然印象変わりました。
<原作>
罪悪感に苛まれる事が無い代わり人間的卑しさに拍車がかかり、羽振り良さ気なのも嘘なんだろうと思わせる
↓↓↓
<ドラマ>
盗んだパイセンの金でキャバクラ経営に成功。開き直ったクズぶりにある意味嘘はなく、むしろ何だかクールでかっこいい…
葉山くんの演技も良かったよ〜
④今野さんの演技でパイセンがリアルに
一方、パイセンもまた、原作よりリアリティのある魅力ある人物になっているのですが
これは伊佐美やマルと異なり、描かれ方が変わった結果ではなく、ひとえに今野さんの役作りと演技によるものだったと私は感じております。
返り血を浴びてトビオを振り返る時
そして10年後の再会でみせる、何か憑き物が落ちたような味わいある表情。
「それでも生きてるんやからしゃーないやん」
この台詞を語る資格があるパイセンを見事に演じ切ってくれたと思います。
本作を実写化した意味を一番実感させてくれたと言っても過言では無い。素晴らしかったです。
⑤主演窪田さんの頑張り
最後に、主人公トビオの描かれ方ですが。
こちらは原作より苛酷でしたね…
窪田劇場ともいうべき見せ場の連続ではありましたが、役に入り込んで熱演してる窪田さんが本当に苦しそうに見えてしまった程です泣
同じ社会的償いをしたのに、伊佐美マルとは大きく生き方が違ってしまった。
なぜならば、トビオはパイセンと同じ位、「空っぽ」で心に何も無くなってしまったからです。
伊佐美とマルは、償いを終えた後に、それぞれ新しい生きる目的を見出しています。
伊佐美は妻と子供のために
マルは金のために
それぞれ「生きる」
しかし、トビオはあんなに自分を信じてくれていた母親や妹とも離れ、待ってると言ってくれた健気な蓮子ちゃんとも別れます。恐らく全ては厳し過ぎる自らへの懲罰意識のために。
そして生の目的を見出せないまま空っぽ…
結局のところ、市橋を欺いたまま目の前で自殺に追い込んでしまった事で、決して消えることのない罪悪感が心に刻まれてしまったのでしょう。
辛過ぎますが、確かにこれはトビオしか背負っていない重い罪。
⑥ぶつけられたメッセージ
しかし、だからこそ、この物語の主人公はトビオでなくてはならないんですね。
どんな重い贖罪を抱えていても、生きる意味を見失っても、人は生きていかなきゃいけない。
「生きろ!」
メッセージをストレートに視聴者にぶつけてきた、そんな最終回でした。