昨晩公開前の試写を観て参りました。
それなりに覚悟して行ったからか、観た直後は
「そんなに過激じゃないじゃん。フツーに楽しんじゃったよ?」
という感想だったのですが…
しかしその後晩御飯も食べず
楽しみにしてたドクターXの録画も観ず
結局一睡もできないままベッドの中で寝返りばかりうってましたから
自覚出来なかったけども、やはりそれなりの衝撃だったのかもしれぬ。
…というか、
咀嚼するのに一晩を要したという事なんだろうな、と自分では思っています。
①タカノリの意外な可愛いさにどう反応すれば
ポスターなどで事前に見ていた間宮氏のビジュアルはこう↓でした。
鬼かよ般若かよという形相か、絵に描いたような不敵なワルっすよね?
ところがです。
仲間といると確かにしょうもないワルなんですが、家族の中では全然違った。
圧をかけてくる兄貴には歯向かわず、すぐに可愛い声で
「悪いけ〜」
て謝っちゃうし
頼りない父親のメンツ立ててあげるし
どっちが子供か分かんない様な手のかかる母親のお願いも聞いてやるし
極め付けが、
「ハア…皆んなが色々言うから、なんか疲れちゃった…( ;´Д`)」
とか見知らぬキチガイ爺さん相手にボヤく始末。
そんなこんなで、見る前には予想だにしなかった感情が己の中に芽生えてしまい驚く羽目に。
こ、これはまさしく不憫萌え!
良いようにこき使われる末っ子くん不憫なり!可愛いなり!
なるほど「家族はつらいよ」のコピーは秀逸であります。
なんだか同情しちゃう可愛さの源は、時々のぞく困った〜参った〜という表情と、どこか情けない甘い声だったと思うんですね。
ウシジマの時も同様に感じましたが、あの声による豊かな表現力は間宮氏の大事な武器だと思います。
②主演間宮が果たした役割
まずは上記に書いた、凶悪殺人実行犯タカノリ君に意外なほどの人間味を感じさせたこと。これが第一。
そして、次いで主演としての彼が本作に果たした役割は、真摯なプロモーションにあったと感じています。
私個人は本作映像にグロもエロもさほど過激さを感じませんでした。(感性は人それぞれなので安易に薦められませんが…)
むしろ、最も過激だったのは題材そのものではないかと。
「ぶっ殺う!」と、でかでか謳っているように、本作は基本的には実在不良を題材にして注目されている小林監督の商業デビュー作であり、日活さんが得意とするヤクザ暴力世界もののカテゴリに入ると思うのです。
元から一定の固定支持層がいる反面、被害者遺族も実在するという実録物ゆえ、「不謹慎な!」という声が挙がるのは必然でありました。センセーショナルだけを売りにするのでは?という偏見もある。
それに対して間宮氏は、時として持ち前のお茶目さを出しつつも、非常に真摯な言葉で誠意を感じさせてくれました。
作品と役への深い理解、そしてそれを自分の言葉で人に伝える能力。共に見事。
「自分が演じるのは殺人に快楽を覚える殺人鬼ではなくて、結果的に殺人犯となってしまった人物」
この年齢で、こういう本質的な言葉をズバリ語れる役者、なかなかいません。
この能力は、本作の様な問題作でこそ最も必要とされるのでは無いでしょうか?
彼は立派に主演の役割を果たしていたと思います!
見た目はチャラいイケメン俳優中身は真面目な優等生(な面もある笑)という間宮氏に対し、
小林監督という方もまたユニークなキャラで。
見た目ガラが悪くてヤンチャそのものなんだけど、意外と(←公式談w)真面目で必死で映画の事考えてるし実行力がある。
二人が気があうのもまあ分かるというか、なかなか愉快なコンビネーションを見せてくれました。
③カッコ良すぎて不謹慎
本作の何がどう不謹慎て、間宮氏が不当に無駄にカッコよすぎる事、これに尽きるんじゃないの?私コレ真顔で言ってます笑
迫力ある金髪に、どエロい刺青の退廃美。
男臭い凶暴さをモロ出しして男たちををカッケーと言わせる一方、末っ子感で母性くすぐりまくり。
余りの格好良さに憧れてヤクザ稼業に走る男とか、情婦希望の女の子が殺到しても知りませんぜ…
そもそもさあ、コレを言っちゃお終いなんだろうけどさあ、
ネットでモデルとなった死刑囚のお写真うっかり見ちゃった人たちが、皆んな頭抱えこんでこんな顔になってたからね笑
いくらなんでも美化し過ぎ!不謹慎ざます!日活さん責任とるざます!
④共演者チェック今回も楽しい
兄貴役の毎熊さん、強面なだけでなくズルさもヘタレさも見せてくれる良い役者さんです。この方と一ノ瀬ワタルさんとは銀英伝舞台ぶりの共演だったはずで、ファンは勝手に胸アツ案件。
あとはライチでお馴染み藤原季節くんも印象的で、やられ役なのにスラップスティック。毎回間宮氏に殺られる役ってのも面白い🤣
お母さん役の入絵さんも、ブログに間宮氏の事を「見惚れるほど美しい子だった」って書いてくれてたし、良いカンパニーだったのでは?
撮影は過酷だったみたいですが良かったですね〜
⑤殺人を理解しようとする不条理
残虐な事件報道を知るたびに、明確な復讐とか金銭とかいう動機があった方が、どこか安心してしまう自分がいます。
でも、今最もワイドショーを賑わせている9人の遺体が見つかった座間の事件を例に挙げるまでもなく、いつもそんな明快なわけじゃない。
理解出来ない事件に接すると、人は無意識に、自分が理解出来るストーリーや理由づけを勝手に行ってしまうそうです。
分からないままでは、怖い。本能的な反応なんでしょうね。
でも現実は、暴力は日常のすぐそばにあって、運が悪ければ誰だって理由なんかなく巻き込まれる可能性がある。
本作の主人公家族は、バカ過ぎて完全に理解不能。だけど家族としてはよくある形。
おまけに、とにかくそう簡単に死んでくれなくて悪戦苦闘するところなんかは不気味にリアル。
怖いけれど、本当の事は見たい知りたい。これを笑えるかどうかが、本作を観る上で一番センスの分かれる所かもしれませんね。