①新人グランプリを目指して
晴れて上妻辻本二人コンビでの「べしゃり暮らし」で修行に励む二人です。
スクールでも、アドリブは褒められつつもトータルでの流れも大事、と指導され、両者の良いバランスを模索している模様。
確かにアドリブこそが二人の持ち味で武器だけど…その難しさがわかるだけに悩みがちな辻本に対して、俺が自由にアドリブ繰り出してんのはお前を信頼してるからだぜ?と調子の良い上妻。
楽観的で前向きとも言えるし、自分のスタイルへの強い信念とも言える…が、こういう奴の手綱は取りづらいなあ
②ライバルたち
因縁ある“るのあーる”も、本大会に賭けてます。
スクール講師にも注目されつつあるべしゃり暮らしの二人を強く意識している模様。
片割れ上原が、「どんな手段を使っても勝つ」とか不穏な事言ってますけど、さて…?
一方、かわゆいニップレスの二人も練習に励んでますが、こっちの相方はるかちゃんにも上原がちょっかい出してる様子。静代の方は恋愛事で惑わされてないで集中して欲しいと思ってるんですが。
③すれすれの1回戦
調子を落としたニップレス、満足いかなかった出来に落ち込む静代と、自分のせいでゴメンと一緒になってはるかもショボン
そこへ上原が甘い声を掛けに来ますが、怪し過ぎるだろう笑
一方のべしゃり暮らしですが、直前に辻本にファンを名乗って近づいて来た女の子がいて…
倒れそうな様子のその子が気になって、本番中だというのに著しく集中力を欠いてしまった辻本です。
その無様に激しく不満をぶつける上妻、そしてしめしめとばかりに二人をかき乱す言葉を投げかける上原。
「上妻の自由なアドリブを持て余し、ついて行けない辻本」
この言葉は、微妙なバランスと関係性に悩む二人にぐさりと刺さってしまいます。
実は、怪しい女の子は女たらしの上原の仕込みだったのですが…こんな奴に付け込まれる余地があったというのが残念な二人の現実なんですね。
④それぞれの試練
ニップレスもべしゃり暮らしもスレスレで2回戦へ。
喜ぶ静代でしたが、はるかがプロ芸人である先輩上原に口利きを頼んだと知って、激怒。
「はるかはただ有名になりたいだけ。私はちゃんと力を認めてもらって世に出たい」
ニップレス解散の危機?
一方のべしゃり暮らしも一旦は喜ぶものの、
2回戦に備え、ネタの台本をいつになく繰り返し暗唱し始めた上妻の様子が気にかかります。
本番中に上の空になってしまった己の不甲斐なさが上妻を焦らせていると感じた辻本は、次こそはと気を引き締めます。
⑤台本通りの2回戦
本番当日まで仲直り出来ずにいたニップレスですが、静代は講師に口利きなど無かったと否定され安心します。
更に、はるかが静代の足を引っ張りたく無いと陰で地道な努力をしていた事も聞かされ、素直に詫びたのでした。もう大丈夫。
しかしながら、べしゃり暮らしの方が…
ソツなくごくオーソドックスな普通の漫才に見えますが…
「おい、なんでまるきり台本通りだったんや」
全くアドリブを繰り出さなかった上妻に対し、辻本は率直に疑問を投げつけますが、例によって上原に掻き乱された挙句
「本当はやりたかったけど、お前のために!アドリブ押さえたんだよ!分かれよ!」
上妻の本音が炸裂してしまいます。
手綱を握ってくれた人を落としてしまった暴れ馬は、走る方角も分からなくなってしまうのか…
その言葉を聞いた辻本の表情は、怒りを通り越してむしろ悲しそうで。
「自分たちの漫才もやらず安全に置きに行って負けるとか。最悪や」
「お前に自由にアドリブもさせられない俺は、相方として相応しくないんやな」
そう言い残し立ち去ってしまったのでした。
ハイ、今度はべしゃり解散の危機です。あー忙しい笑
⑥思い出せ!勝つための笑いじゃなかったはず
べしゃり解散の噂が広まると、意外な事に上妻には俺とコンビ組もうぜという誘いが殺到。モテ期かよ。
上妻って、ただ暑苦しいだけでなく、やはりそれなりに目立つ華のある奴なのでしょう。
しかし、それは繊細で遠慮深い辻本の足をますます遠ざける事に。
一方の上妻の方はといえば、そんな誘いに心動かされた様子でもなく、ただただ相方をなくしどうしたらいいか分からないでいる。
見かねた幼馴染の奈々ちゃんが、実家の蕎麦屋に連れ出しますが、そこで上妻は自分の笑いの原点を振り返る事となりました。
苦労の中で、あえて笑顔を絶やさないでいてくれた母親。自分が笑う事で周りも笑顔にできると信じていた母親…
そう、勝つために漫才やろうとしたんじゃない。自分が誰より楽しんで笑っていようと志したはずの道じゃないか。
いったんは落選したのに、その後の追加枠にて復活当選が決まり、運良く決勝進出が決まったという連絡が。
早速辻本に連絡とりますが、辻本出てくれません。どうしてるんだよう泣
⑦お前はデジ金の何を見て来たんや辻本
再三の圭右の連絡にも関わらず、決勝当日も会場から逃避している辻本。
そこへ颯爽と現れた金本パイセン!
現れた瞬間から絶対なんとかしてくれそうな頼もしさ1000%きゃー素敵っ
「相手のために身を引くみたいな綺麗な言い訳すんな。本当はいつか置いていかれて惨めな思いをするんが怖いだけやろ」
さすが。ズバリと本心を言い当てました。
そう、最初は確かに漫才の先輩である辻本の方がイニシアチブを取り手綱を握っていた筈の関係だったのに
奔放で野性味溢れる上妻の天才性は、いつしか辻本をも凌駕するまでになっていたのです。
この道は、いつか来た道。誰もが行く道。
「お前は、俺たちデジ金のいったい何を見て来たんや!」
そうだそうだ!金本に負けない為に努力し続けた藤川の生き様を、今こそ思い出せよ辻本!
(本当は、こうやって叱って背中を押してもらいにわざわざ来たのかもね、辻本くんは)
⑧来いよ!一緒に来い!
近づく決勝本番、一人辻本だけを待つ上妻の表情は…
嵐の前の静けさというべきか。寂しそうでもあり、自分と相手を信じて待っているようでもあり、運命を達観しているようでもあり。
単純でないなんとも複雑な空気を上手く演じていると感心してたのですが、本当の見せ場はここからでした…
ギリで、漸く現れた辻本。
「やっぱりお前と漫才やりたい。お前と漫才やるのが楽しいねん…」
上妻は、立ち尽くしている相方に、全力で、全身全霊でぶつかりに行きました。
「ふざけんなよっ!ふざけるのは俺の方の仕事だぞ!」
「お前が俺をこの世界に誘ったのに、お前がいなくなるとか、なに、なんなのっ!」
ここの間宮氏、ほとんど目に狂気を感じて凄かったー。お笑いしかないお笑いバカというか、お笑い取り上げられそうになった時の、途方に暮れっぷりがいっそ見事で、素で人を笑わせてしまう上妻という人間のアホさと可愛げが爆発してると感じた。
(辻本渡辺もついニヤり吹きそうになってた描写がありました。)
そして、最初は辻本の方から誘いこの道へ引きずり込んだ筈のコイツは、今や、逆に辻本を煽るようにして板の上へ誘うのですよ。
「ついて来いよ。俺の方が漫才の楽しさ絶対分かってる。ついてこれんだろうな?!」
そうして火をつけられた辻本と、飛び出して行った二人の躍動感たるや!
⑨貰い受け止めてきた全てを漫才で返す
ラストの二人の本気漫才は、勢いだけで押しまくった初回と比較してはっきりと上達を感じ、私は嬉しかった。
ネズミ花火、しずじゅん、デジ金と、これまで二人が色んな形で受けとめて来たものを、漫才のネタに絡めて昇華していく演出も感動的でした。
もっともっと二人の本気漫才を見守っていたかった…。
最後は、勝利の行方も描かれず、ただ二人が二人の漫才の形を取り戻し、心から笑い合うシーンで終わる。余韻ある素敵な終わり方だと思いました。
こういう形で上妻に「俺にはお前が絶対必要だ!」を豪速球で投げさせるとは、正直予想してませんでした。
いち間宮ファンとしての本音を言えば、あまりにも暑苦しすぎる上妻というキャラにゲンナリし、いずれ大人になってキャラの好感度上がって欲しいwと願った事が幾度もありました。
しかし、もし上妻が土下座でもして泣いて媚びたり、言葉に出して相方を宥めたり求めたりしてしまったら、もうそれは上妻ではないのでしょう。
陳腐なお約束をつい求めてしまっていた己を恥じますwそんなありがちな展開より、遥かに魅力ある主人公になっていました。
そこで、私はこのインタビューをつい思い出したんですよね。
「話の都合で矛盾や破綻してる台詞を言わなきゃならない現場も経験してきたけど、べしゃりでは、矛盾を感じる事がほぼ無く、純粋に上妻という人間に感情に添って演じる事を全うできた。それがとても幸せな事だった」(意訳)
このドラマで主人公を演じさせてもらえたからこそ味わえた体験だったのでしょう。
間宮氏が上妻という役をどう解釈してどう演じ切ったのかを、余すところなく出し切り見せてくれた事に感謝致します。