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Channel: 妄想泥棒のブログ(銀英伝・ハガレン二次創作小説とマンガ・読書・間宮祥太朗ドラマ感想)
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●変わり行く男のロマン<MASTERキートンとゴルゴ13>

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さてと、久しぶりにマンガネタ書いたと思ったら、これまた凄いおやじくさいネタで、済まんこってす。

いやはや。この偉大なる二作品についてなんか偉そうな事書く気ならば、ちゃんと読み返さなくてはっ!と決意して、この1ヶ月ほどひたすら読みまくってみたんです。(←働けよコラ)

……さすがに全読破は無理じゃった、あはははははー笑。

特にエンドレスゴルゴをやってしまった日は…もう夢に見るかと…。失業したら、またトライすることにしようそうしよう。
だから本日は、話の内容について語ることは、ちょっと控えようと思います。


①ゴルゴとの出会い

では。まずは私とゴルゴとの出会いから語り始めます。誰からも頼まれていないけど。(あ、愛とセンチメントの限りを尽くして物凄く暑苦しい文章書きますから、興味ない方はこのヘンで読むのやめといた方がいいです)

あれは、まだ私がいたいけな少女であった頃。多分10歳くらいかなあ。いつもの様に父の書斎に忍び込んで、面白そうな本をこっそり探しておりました。
すると、目につきにくい場所に、珍しく本屋カバーがかけられたままの本があるではありませんか。
子供ってのは、こういうトコに異常に嗅覚が効きますよね。私は迷わず、うんしょうんしょと高い棚によじ登り、その本をゲットしました。

「ありゃ?マンガだ…」
マンガそのものはもう普通に読んでましたから、別に驚きませんでした。でも、びっくりしたのはそんなトコじゃないんですよ!分かるでしょ?
「お、お父さんが、お父さんが、こんなエッチなご本読んでる~」
純粋だった私は、ショックの余り泣きました笑。そして、そこを父に見つかってしまったのでございます。

厳格な父、困り顔で考え込んだ挙句、私にこう申しました。
「驚かせてしまったね。でもね、このマンガは物凄く勉強になるんだよ。だからもう少し大人になったら読んでもいいよ。」
ただし、お母さんには言うな。そう念押しされたことを一応付け加えます笑。

②ゴルゴとの別れ

その後、父も開き直ったのか、結構な冊数をコレクションしておりました。それをずっと読み続けていた私は、子供むけとは違う、大人の読み物として描かれたマンガの魅力にすっかりハマりました
何を隠そう、大学の専攻を国際関係関連にすると決めたのも、このマンガのせいなんです。何か文句ある?

しかし、やがて、父と娘のヒミツは悲劇的結末を迎えました。
おっかない母親の知るところとなったある日、怒り狂った母に全冊焚書処分を命じられてしまったのです。
父と娘、泣く泣くゴルゴの首をぞかいてんげる。ああ哀しき我が家のゴルゴたちよ。いつの日か我が腕の中へ戻らむ。

そして、この事件は、私にとって重要な結果をもたらすことになりました。
私は、これを契機に「ぜったい早く独立して、何を読もうと買おうと誰からも文句を言われない身分になってやる!」と、それはそれは固く決意したのであります。(なんじゃそりゃー)


③キートンとの出会い

さてと。麗しい思い出のノスタルジーに浸ってないで、次はMASTERキートンとの出会い話に行きましょうかね。誰からも頼まれていないけど。
こっちは、とても甘酸っぱいっすよ!ケッとか罵倒したくなりますよ!読みたくない人、閉じるなら今のうちです。

これを教えてくれたのは、当時つきあっていた彼、今のダンナでございました。
ダンナは、全く勉強しないで旅ばかりしている不良学生の私と違って、苦学生で真面目な先輩でした。いつもエラソーに叱られてた記憶ばかり笑。(ま、馬耳東風でしたけどねっ)
その彼が、ひと足先に社会人になった頃、まだ連載初期であったこの作品の名前を挙げ、私に言ったのです。
「お前、絶対にこれ気に入ると思う。」

彼は私がマンガ好き重度ヲタクであることをよっく知っていました。なんせ、嬉し恥ずかし初めて彼のお部屋へ遊びに行った時、カレシそっちのけで、本棚にあったナウシカ全巻読破に没頭した女です。後に彼はその時の事を、「話しかけても返事もしてくれなかった」と証言しておりますが、記憶にないので許して欲しい。
そんな私でございますから、当然、ゴルゴ好きであることなど、隠してもおらぬわ!
ま、だから、この作品を薦める気になったのでしょう。案の定、私の好みにドンピシャで、ああ私の事を理解してくれるカレシを持って、私は世界一幸せなカノジョだわ!もう絶対この男放さない~。そんな気持ち。(←マンガで釣れる珍しい女)

④キートンとの再会

ただ、私には、妙なこだわりもありまして、極力完結したものを単行本で読みたい派なのです。そのため、連載中は、ちょこちょこと彼の読み終わった雑誌で楽しむだけでした。だから結局自分で購入したのは、パイナップルARMYの方。結婚した後の事ですが、私の本棚に全巻揃ったパイナップルを見つけた時、ダンナはにやりとしてましたねー。

ご存知の方も多いでしょうが、このMASTERキートンという作品は、傑作であるにも関わらず、原作権利の問題で揉めてしまい、長いこと単行本が入手困難な状況となってしまっていたのです。そのため、完結したと知っていたのに、ずっと買えなかった。
ところが、ようやく最近完全版として刊行復活!

本屋で、全巻セットを見た瞬間、私は興奮しながら夫の腕をがっと掴みました。ふがふがと鼻息も荒く目で訴えます。そしたら、観念したダンナが鷹揚に頷いてくれ、ようやく私は全冊手許に置くことを許されたのであります。
長かったわ、長かった。今、私世界一幸せ。理解ある夫と、ようやく手に入れたキートン。もう絶対に放さない~。そんな気持ち。(←マンガを幸せの指標にする珍しい女)


⑤ピカレスクから人間くさいヒーローへ

この二つの作品には、多くの共通点があります。

・短編連作形式
・原作(シナリオ陣)と絵師との強力なスタッフワーク
・軍事・政治・国際社会といった高度で専門的な内容
・プロフェッショナルな能力をもつスーパー主人公
・掲載誌(出版社)

この様にあえてわざわざ挙げるまでもなく、大成功したゴルゴの路線を、キートンという作品が戦略的に踏襲したことは間違いないでしょう
その上で、以下の相違点にも着目してみたいと思います。

・最初から完成している主人公 VS 夢見る男から大人へと成長する主人公
・謎のままの主人公の経歴と出自 VS 意外性ある華々しい経歴と出自
・寡黙がトレードマーク。時として主人公が出ない回すらある VS 主人公だけでなくキャラ達の味わいある台詞が満載
・セックスシーンあり VS なし
・家族なし VS 家族あり(別れた女房をとうとう登場させなかったところは実に上手いです)
・多分あと10年たっても終わらないんじゃ… VS 爽やかなヒューマンドラマとして見事完結

要するに、この二つの作品の決定的な違いは、極められたピカレスクロマン、すなわち黒いヒーローであるところのゴルゴに対して、キートンが健全にして善人、かつ情けない面ももつ物凄く人間臭いヒーローになっているというところにあります。
果たしてこれも、戦略的に意図されたものだったのでしょうか?

個人的には、その答えは「YES」であったと思っています。これだけの完成度を誇る作品において、主人公のキャラクタに限って「狙って」いないなんてことあり得ません。
キートンの親しみやすさは、はっきりと日本のサラリーマン族をターゲットに練られたキャラであります。
そして、その親しみやすさと超人的活躍ぶりとの両立を可能にした成功要因は、ひとえに浦沢直樹の人間描写力にあると感じます。
従って、見事なプロットゆえに脚本者がより賞賛される傾向にあるこの作品ですが、やはりこれは浦沢直樹の作品なのだよ、と、私は考えております。

男のロマンには、「強いことは正義」という絶対の法則があります。
しかし、その「強さ」の描かれ方は、時代とともにどんどん変化していきそうですね。
キートンが単純な「白いヒーロー」でない事にはちゃんと理由があり、現代の男の生き方や悩みの多様さ、複雑さを、そのまま反映した結果なのでは。そんな気がしてなりません。

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