第十八話 越前へ
小さくとも城持ちの一族であった明智一家は、燃えて陥ちた我が城を見上げる事しかできません。
光安叔父だけが城と最期を共にしました。
父の天晴れな生き様を見届けた事で、城主・城代としての始末の仕方というものを、若い左馬助もしっかりと心に刻んだ事でしょう。
②北国越前へ
尾張へと落ち延びたい所ですが、そちらは追手だらけとの駒ちゃん情報を受けて、止む無く北へと向かいます。
この山道、現代でも人が踏破するのは大変なルートと聞いていますが、女連れではさぞかし辛い道のりだったろうと…
そこへ帰蝶の命を受けた美女伊呂波太夫が現れて、越前へと案内してくれる事に。
難所を越えて到着した一乗谷は、小京都とも呼ばれる賑わい。
都会が珍しくてホエーとなる左馬助や、はしゃぐ煕子様が可愛いです。
③朝倉殿に値踏みされ
太夫の手引きと、旧友細川藤孝の手紙のお陰で城主朝倉義景に謁見を許されますが
人を値踏みするこの目つきw
加えて、
「金に困っておるのだろう?くれてやろうぞ」
うーん実にバカ殿っぽいwww
浪人と見下し、人を試すつもりもあったのでしょう。しかし、明智十兵衛は
「お断り致す。貰う理由がござらぬ」
ときっぱり拒絶。
殿様はあからさまに不機嫌となり、後で呆れた太夫に説教されますがw
「あそこで恵んで貰っては、自分を後ろ立ててくれた帰蝶や藤孝を貶める事と同じであるから」
と十兵衛。自分の価値をはったりで売り込む事もせず、形式主義というかなんというか、とっても真面目でお固いのですよねこの人は。
ただし、この場面、朝倉の方が明智を値踏みして終わっただけとは私は思いませんでした。
同時に十兵衛の方だって、朝倉殿を値踏みした。
そして、瞬時に「仕えるべき人間ではない」と判断を下したのではないかと笑
④屈辱と極貧から這い上がれるか
そうは言っても、一家を率い生きていかねばなりません。
充てがれた家は、全員が埃でむせこむほどのあばら家
当面の物入りのために、父の形見の数珠を質屋に入れる覚悟をした十兵衛でしたが
姫育ちの煕子様、質屋を学習しつつ内緒で自分の帯の方を売りました。良き妻です泣
尚この間、左馬助くんは煕子様と駒ちゃんを
「お守り致します!(キリッ)」
と言ってBG気取りでしたがw、つい物珍しさに目がキョロキョロしてるのが、まだ少年ぽくて可笑しかったです。
十兵衛の方も若い左馬助をそれなりに頼ってちゃんと仕込もうとしているんだなっていう描写もあって、早くも主従萌えが発動じゃ
しかしその十兵衛、余りにも惨めな状況に、己が本当に全てを失った事を痛感せざるを得ません。
道中、駒の命の恩人が我が父であった事も判明したのに、
その立派な父に比べて、今の己の無力さに、もう打ちのめされそうっ
しかし、母は亡き父の言葉で十兵衛を励ますのでした。
「負けた時にこそ、人は真価を問われる」
良い台詞じゃのう…。
そう言えば、先日読み返してた「国盗り物語」の一節の中で、丁度この時代の極貧から這い上がろうとしている光秀エピソードの後、
「あれ?なんで俺はこんなに光秀の事ばっか書いちゃったんだろう?(信長の物語の筈なのに)つい孤軍奮闘する光秀に憐憫が湧いてしまったよ」
みたいな事を司馬遼太郎が本文中に書いてて、つい爆笑しちゃいました🤣
日本人、こういう苦労人大好きなんだよねえw
⑤信長、弟を殺す
貧しくも結束固い明智一家に比べて、
もうこの人たち本当にドロドロ過ぎて手がつけられません笑
一度失敗したにも関わらず、弟信勝は再び謀反を企みます。しかも今度は、美濃の高政と手を組むつもり。
危機感を抱いた重臣柴田勝家がこれを密告し、
信長は病気と偽り弟呼び寄せます…
そして、弟の方もまた毒水を盛って駆けつけ…
…って、オイ、このパターン何度目だよ笑
少しは学習しろよどっちも!
それにしても、緊迫感みなぎるシーンでした。
兄と弟が互いの嫉妬を曝け出しぶつけ合い、
そして兄は涙を流しながら鬼となって自死を命じた。
美しい弟信勝を演じた木村了さんは、間宮ファンにとってはもうお馴染みw
帝一ではあの間宮が靴を舐めたほどの気高き生徒会長役だった方ですが、その彼をぶち殺した染谷信長おっかねえー
皆さん薄々察して下さっているかもしれませんが、私、本作の三英傑冒険キャスティングと演出については、まだ様子見中でございます。
特に信長は大好きが昂じて、これまで演じて来られたどの名優にも100点あげた事は無い位にハードルを上げ切ってしまっている自覚はあるので…
染谷信長初登場の時には、「ビク下げた浦島太郎じゃねえんだからよっ」って腰抜かしましたし、
親の前でメソメソ泣き出したシーンには、完全にアタマに来ました笑
しかし、道三との邂逅は名場面であると唸りましたし、今回も画面に引き込まれてしまいました。
染谷くんに関しては、実はかなりのファンで、主演映画だけでなく脇の作品もだいたい劇場で見ています。複雑な感情を抱えた若者役が本当にハマる人なんですよねえ。
だからまあ、最初に抱いてしまった違和感はそのうち払拭できそうです。良かった良かった。