泣きました。号泣です。
ドキュメンタリー仕立てで、リアルな映像やインタビューが使われているのも良く、臨場感と説得力が全然違いました。
こんなにも心に残る作品に間宮くんを起用してくれた事にも、
間宮くんが出演を決意してくれた事にも、
心から感謝の気持ちで一杯です。
①奇跡なんだけど奇跡じゃない
脳腫瘍の後遺症で目がちゃんと見えないにも関わらず、引退試合で見せてくれた見事なバックホームの送球。
あまりにも鮮やかであった為に、本人にも周囲にも「奇跡」と言わしめたこのエピソードですが、
これが「単なる神様の気まぐれ」などでなく、横田選手が地道に積み上げてきた努力と才能ゆえの、ある意味「当然の権利と必然の結果」であったのだなぁ、と受け止めています。
まず第一に、子供の頃から野球一筋で、徹底的に身体に動きを叩き込んで来た人だという事。補球後のバックホームの流れなど、もう何も考えなくても身体が覚えていて本能で動けるレベルの人だっただろうと思います。
そして第二に、恵まれた足と肩。どんなに頑張って練習したって、ああいうレーザービームみたいなダイレクトバックホームって、実は誰にでも出来るプレイじゃありません。彼は、間違いなく選ばれし体格と才能を持った人でした。
最後に、これが一番大事な点ですが、彼は手術後のリハビリから復活し、なんと目以外の身体能力を元のレベルまで戻していた!
とにかく野球を再びやりたいという一心だったとは言え、凄まじい意志力です。
身近に抗がん剤治療を受けた人がいる人ならば、この過酷さはよく分かるはずです😭私は、他の何よりも、この努力に心打たれました。
例え最後の晴れ舞台を用意してもらったからといっても、この「プロとしての誇りと備え」がなければ決して実現する事のなかった「奇跡」でした。
だから、「当然の権利と必然の結果」
もし神様がご褒美をくれたんだとしたら、それは球音と共に前へ飛び出した横田選手の目の前に球を飛ばしグラブへ収めてくれた事、だったかもしれませんね。
②私は母親目線で見てしまった
気づけば私は、横田選手のお母さんの目線で物語を見てしまっていた気がします。
栄えあるドラフト指名を受けた時には、舞い上がった余り、控室で待っている「母の事はつい忘れてしまいました」
という少年が、
最後のスピーチでは、支えてくれた周囲と「強い両親」への感謝を、繰り返し繰り返し訴えていました。
不幸な闘病生活を経た後の、横田選手の人間としての成長がよく分かります。
この事は、支えてきた親にとっては何より嬉しく誇らしいのではないでしょうか。
私は女の子一匹しか育てておりませんが、男の子という生き物を無事育てあげるのは、過酷な体力仕事と理解しております笑
近所のママ友は、ちびっ子坊やと遊んだり躾けたりするだけで全身謎のあざだらけになっていたというのに😂!
野球少年を、それもクマとかゴリラサイズにまで育てるんですよ?神でしょ!私には無理です(断言)
目が見えない事に怯える息子と鈴で繋ぎ
幼稚園児レベルの体力に戻ってしまった息子と、昔を思い出しながらキャッチボール
母の献身と愛には、ただもう涙するしかありませんでした。見守ったお父様、お姉さんともども、本当に立派なご家族だと思います。
③スカウトさんとの絆と人生
私の夫は正真正銘のトラキチなので、号泣しながら視聴している私の横で、お節介な解説をしてくれるんです😂頼んでもいないのに笑
その夫が、田中秀太氏の登場にエラく喜び
「ちょっとイケメン過ぎちゃうか〜」
となぜか嬉しそうにツッコミを入れつつも、秀太スカウトもまた実在の元選手で、阪神ファンにはお馴染みの「いじられ系愛されキャラ」であると教えてくれました。
秀太スカウトが、闘病中の横田選手を見舞い、
「良いプロ野球選手とは、ファンに応援される選手である」
って語る箇所は、本作の名シーンの一つだと思います。
実はこの台詞は、横田選手を勇気づける言葉だったというだけではなく、スカウトマン自身の人生模様や人生観も込められていた、という点が二重の意味で深く味わい深い台詞だったと思うんですね。
野球人の人生とは長く多様で、中高生時代にはスーパースターだった人ばかりが集まるのがプロの世界。そこでレギュラーになるだけでも凄い事なのですが、その華やぎはほんの一瞬で終わり、誰しも脱落や引退が待っている。
監督やコーチとして残れる人も僅かという中で、スカウトマンとして第二の野球人生を選択した田中秀太氏自身が、「記録より愛された選手」として自らの野球人生に感謝し誇らしく思っていたのでしょう。私はそう感じました。
そうして届けられた数々のファンのメッセージを、横田選手が繰り返し眺めて励まされていた場面も、ジーンとします。
みんな、恥ずかしがらずに推しにはガンガンメッセージ送ろうな!って思いましたよ、ハイ😆
④「野球辞めます」の涙に引き込まれた
ご本人のインタビュー映像後にドラマが流れるなんて、比較されるし正直やりにくいというか難しかったと思うんですよね、この役。
ファンゆえの責任も感じていたという間宮くんですが、誠実に実在の役を演じきってくれたと思います。
まず、朴訥でどこか憎めない感じの語り口から、顔や体格の見た目の問題ではなく、横田さんという人物の「人となり」を伝えたいという気持ちが伝わってきました。
「ふ、不甲斐ない」
の失言は、笑える実話だそうですねw
なんだか可愛いらしい印象になってましたし、
多くの阪神ファンの方が、好感を持って受け止めてくれていたのも嬉しかったです。
本来は右投げ右打ち、しかも野球経験は実は軟式の中学時代まで、という間宮氏なのに、バッティングシーンなどで違和感を感じさせなかったのもお見事です。
(彼の本気の右投げ強肩を見てみたい方は、有名な甲子園始球式だけでなく、「弱くても勝てます」というドラマを是非!確か終盤の9話か10話あたり?で、センターからカッコいいバックホーム投げるシーンが映りますので、ほんの一瞬だけですが!根性で探し出してみてください😆)
しかしなんと言っても一番の白眉であったのはこの場面。
「今でも楽しくやれているか?」
「…野球、やめます」
ここはお世辞抜きで、もう本当に素晴らしい。
「泣き演技」なんていう安っぽい言葉では言い表せない本気の涙であり、魂に伝わってくるものがありましたよ。素晴らしかったです。
野球や阪神に興味ない人にも是非見て欲しい作品です。
なのになんで、阪神オープン戦の真裏で放映したのか?この点だけは謎過ぎて首を捻ってますが笑
Tverで見逃し配信あるうちに、皆さま、是非ご覧下さい。